スタッフインタビュー
- 枠にとらわれずに集える場所だといいな
コレクティブスペースで働く女性スタッフ(通称「コレジョ」)のはるかちゃんとサリーちゃんに、スタッフからみたノキシタをお話ししてもらいました!
右側がひろむくん。ノキシタではるかちゃんとサリーちゃんと一緒に働いています。
—お二人がノキシタで働くようになったきっかけは?
はるかちゃん:もともと特別支援学校の先生をしていて、ひろむくん(コレクティブスペースの障害者スタッフ)の担任だったんです。卒業の時に、ひろむくんのお母さんからお声がけいただいたのが始まりですね。
サリーちゃん:私もひろむくんのお母さんからお声がけいただいて、ですね。
はるかちゃん:正直、最初はやるつもりがなかったんです。教員嫌いじゃなくて、面白かったから辞める必要性は全然感じていなくて。
ただ、たまたま卒業学年をもってたのでいい区切りだったのと、「働くことが決まってる人がいて紹介したい」って言われて、サリーちゃんに会ったんです。そしたら、サリーちゃんがすごいいい人で!その出会いがなかったら、もしかしたらここにはいないかもしれない。
サリーちゃん:私は震災の前は保育士だったんです。ですが、津波で自宅が流されて、子供たちが津波に追いかけられるような経験をしたせいで、非常に不安定になっていたので、思い切って辞めたんです。末っ子はまだ3歳でした。
その後は、コミュニティセンターでヨガ体操教室を開いたり、PTAのボランティアをしたりしていました。ちょうどここのお話をいただいた時は、小さかった娘が中学に入学する時でしたので、いいタイミングだなと思い8年ぶりくらいに社会に出ました。
―スタッフとして大変に感じること、やりがいに感じていることは?
はるかちゃん:なんだろうね?そんなにすごい大変だなって思うことはないんですけど。
サリーちゃん:うん。
はるかちゃん:オープニングの時は、自分たちを知ってほしくて、「素晴らしい所ができます、素晴らしいんですよ!」ってちょっと必死になって言っちゃってたんです。今振り返ると、大変というか、ちょっと違ったかなって。
サリーちゃん:オープニングの日は、風船が飛んで、いっぱい車いすの方がいらして、それこそ理想郷のような集まりで盛り上がったんです。けどそれから暫く、ぱたっと(笑)誰も来なくなって…。
はるかちゃん:イメージと違う!ってなって…始める前ってすごいイメージ膨らむじゃないですか。ひっきりなしに人が来て、人が帰ってくれなかったらどうする!?くらいの感覚でいたんですけど…。
サリーちゃん:チーン・・みたいな(笑)
はるかちゃん:むしろ来た人をVIP待遇で迎えるくらいのね。
サリーちゃん:『お茶は決して私たちスタッフは淹れない』とか最初言ってたのにね。
はるかちゃん:今思えば傲慢だったなと。(笑)
サリーちゃん:だんだんと地域性もわかってきて・・・徐々に視界がクリアになって。 町内会長さんたちには本当にお世話になっています。
はるかちゃん:本当にね。
サリーちゃん:どの会長さんも本当に素晴らしい方だし、やっぱり震災を乗り越えられてる皆さんなんですよね。お話伺うと、大変心動きます。
はるかちゃん:来てくれる方がいいと思ってくれないと、繋がらないんだなぁっていうのも分かってきました。自分の弱い所や得意なことを見せることで、最初は固かった皆さんも、ちょっとずつ崩れて『実はこんなことで悩んでる』とか、『ここに来るにはどういう経緯があった』とか深いところまで話してくれるようになるんです。
サリーちゃん:だんだんね。
はるかちゃん:何を求めてここに来てくれてるのかが、ちょこちょこ分かるようになってきたかなぁ。
―最初はどういう場所にしたいと思っていましたか?
はるかちゃん:最初は、スタッフが何もしなくても会員さんたちの力でコミュニティがひろがっていったり、繋がりが増えればいいなぁっていう風に思ってたんです。 でも、実際ぽんと来て「どうぞ自由にしてください」って言われても、自分だとしてもできないなぁって。
サリーちゃん:そりゃそうよ。
はるかちゃん:スタッフが自分でお茶を入れて座って「飲みましょう」って言うから飲みやすくなるっていうか。私たちはほらね、お茶を飲むのもお菓子を食べるのも得意だから。
―一同:(笑)
はるかちゃん:スタッフが最前線で楽しむことが大事かなと。そこから会話が生まれて「料理が得意な方がいたね」とか「裁縫が得意だね」とかって、導き出せるのかなぁって思います。
“人と人を繋げることができるんだな、この場で”っていうのに気づけたんです。
―お客さんと接するときに、心がけてることはありますか?
サリーちゃん:まずは、この場所を選んで、ここまで来てくださってることに心から感謝すること。皆さんね、足が痛いとか忙しい中で、この場所を選んでくれたり、私たちに会いたいって言って下さったり…本当にありがたいと思っています。
はるかちゃん:ありがたいよね
サリーちゃん:なので、挨拶とか見送りとか、本当に感謝の気持ちで心から接するっていうことをずっとこの半年、私もはるかちゃんも積み重ねてこれたなぁっていうのは、すごく胸を張って言える。 心で接しているとみんな心を開いて下さって、普段言えないようなことを話してくれるんです。
―思い出に残っているエピソードはありますか?
はるかちゃん:「実は障害があって、今悩んでるんです」っていうのを、別に私たちに言ったところで解決はしないはずなのに、ポロって言ってくれて
サリーちゃん:うん
はるかちゃん:その人の話を聞いたあとに、出会った人が「自分もね、障害がある子を育ててるんだけど」と。この二人が出会って話をしたら、「お互いにこういう大変さがあったね、でももうちょっと経つとこうなるよ」と話が弾んで。
“人と人を繋げることができるんだな、この場で”っていうのに気づけたんです。
本当は知りあうことがなかった二人だけど、私たちが間に入ることで会話が弾んで、最後に「来てよかったです」って言われるのが、何よりだなぁって。 「また会いましょう」って会員さん同士が言ってるのを見ると、ホッとします。
サリーちゃん:本当に!
はるかちゃん:「今日○○さん来た?」とか「今日、午後来るかなぁ」とかいう期待感がこもった会話がすごく増えてきたのは嬉しい。 あとスタッフが休んでいると「サリーちゃん今日は?」とか、会員さんたちがスタッフのことまで気にかけてくれて、この環境はやってて良かったなって思います。
サリーちゃん:会員さんもとっても優しい方ばかりで、“自分が自分が”じゃなく、お隣の方にそっと優しい言葉をかけたりするような人たちばかりなんですよ。
“この人はいい、この人はダメ”みたいなのは、絶対したくないよね。
―これからノキシタにはどんな場所になっていってほしいですか?
サリーちゃん:せっかく場所も広いしお外も素敵だから、畑とかお庭とか何か作ることができたら。
はるかちゃん: 自分が今20代で、先輩方の話を聞いたりする機会って、プライベートでなかなかないなぁって感じています。こういう場だと様々な年齢の人が繋がれるから、そこも大事にしつつ、”同年代の楽しさ”と”世代を渡って集える楽しさ”っていうのが両方あればいいなぁって。
サリーちゃん:うんうん
はるかちゃん:『高齢者の方に元気になってほしい』という想いはあるし、『ひろむみたいな障害がある子の居づらくない場所であってほしい』という想いもあるし・・・それがメインではあるんだけど、それだけだと逆に“じゃあ一般の人来づらくない?”って思うんです。
サリーちゃん:うん
はるかちゃん:「私たち高齢でもないし障害もないから…」ってなっちゃうと勿体ないなって。 皆がもっている力があるからすごく楽しいなぁっていうのを感じるから、高齢の方も障がいのある人も、そして一般の人も枠がなく、皆で集って楽しめるっていう場所になってくといいよね。
サリーちゃん:そうだよね
はるかちゃん:だから、高齢者の方のために作りましたとか、障害者のために作りましたっていうんじゃなくて、“どの人も自由に集えて、どの人も嫌な思いをしない場所であってほしいです”っていうのを、心から伝えていけば、それがやっぱり一番なのかな。
サリーちゃん:“この人はいい、この人はダメ”みたいなのは、絶対したくないよね。
はるかちゃん:そうそうそう。 来た人に対して、みんながいい気持ちで集える場所にしていこうってことだから、たとえば「料理が得意なんです」って方がいたら、「じゃあ障害がある方でも一緒にできるメニューを考えてみませんか?」って一言言えばいいだけの話だし。
サリーちゃん:うんうん
はるかちゃん:枠にとらわれずに集える場所だといいなって。それがここの良さなのかなって思うので、そうなっていってほしいですね。
―最後に、お二人にとってノキシタとは?
サリーちゃん:そうですね…私にとっては“思いやり”。 ノキシタに温かなものが生まれてほしいっていう風に思います。
はるかちゃん:私は“つながり”かなぁ、やっぱり。 人と人の繋がりをすごく感じる場所なので、そこを大事にしたいし、広がっていったらもっと面白くなるんじゃないかなって思います。
誰とでも垣根なく接することができる、はるかちゃんとサリーちゃん。
これを読んでコレジョに会いたくなったあなた、いつでもノキシタにいらしてくださいね。
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